一人で始めた会社が軌道に乗って、「パートナーに参加してもらいたい」「家族に代表者を引き継ぎたい」というタイミングが来ることがあります。あるいは逆に、事情があって代表者を交代する必要が出てくることもあります。
こういう「代表者(マネージャー)を変える・増やす」という手続きは、実は日本の感覚よりも少し手間がかかります。今日はその全体像をお伝えします。
そもそも「マネージャー」って何?
UAEの会社登記上、会社の意思決定・署名権限を持つ人を「マネージャー」と呼びます。日本でいう代表取締役に近いポジションです。
このマネージャーの情報は、会社の基本定款(MOA:Memorandum of Association)に記載されているため、変更するには定款自体を書き換える必要があるという点が、日本の感覚と大きく違うところです。
手続きの大まかな流れ
- 株主間での合意・決議:新しいマネージャー体制について、株主総会での決議を行います
- 定款(MOA)の改定:新しいマネージャーの情報を反映した定款を作成します
- 公証(ノータリー)での認証:改定した定款を、現地の公証役場で正式に認証してもらいます
- 管轄当局(DETや各フリーゾーン)への登録変更申請:ライセンス上のマネージャー情報を更新します
- 銀行への届出:会社の銀行口座の署名権限者情報を更新します
- 就労ビザの調整:新しいマネージャーが会社のビザ保有者になる場合、就労ビザの申請・移管手続きも必要です
「定款を直す→当局に届ける→銀行に届ける→ビザを整える」という順番を意識しておくと、途中で手戻りが少なくなります。
こんな場面でよく必要になります
- 共同経営に切り替えるとき:一人代表からパートナーとの共同代表に変更
- 事業承継のとき:家族や後継者に代表権を引き継ぐ
- 投資家が新たに参画するとき:新株主兼マネージャーとして参加してもらう
- 代表者が本国に戻るとき:現地に残るメンバーに代表権を移す
見落としがちなポイント
① 銀行の署名権限の更新を忘れない
定款や登記情報を変えても、銀行への届出を忘れてしまうと、旧代表者の署名がないと口座が動かせない、といった実務上の混乱が起きます。会社を変えるときは、必ず銀行への通知もセットで考えましょう。
② ビザの整理は早めに
前任のマネージャーが会社のビザ保有者だった場合、そのビザの処理(キャンセルまたは変更)も併せて必要になります。ここを後回しにすると、次の手続きに進めなくなることがあります。
③ 契約書・取引先への周知
銀行やビザだけでなく、既存の取引先との契約書に記載された署名権限者の情報も、実務上は更新しておいた方が後々のトラブルを防げます。
④ 手続きを安さだけで簡略化しない
代表者変更は地味な手続きに見える分、費用を抑えたくなる気持ちも分かります。
ただ、定款変更・当局登録・銀行届出・ビザ調整のどれか一つでも抜け漏れると、次の代表者体制での契約や口座利用に支障が出ることがあります。
将来の経営体制まで見据えて、一つずつ確実に進めてくれる相手を選ぶことをおすすめします。
さいごに
「代表者を変える」というのは、一見地味な手続きに見えて、実はいくつもの機関をまたぐ作業です。順番を間違えると、思った以上に時間がかかってしまうこともあります。
パートナーとの共同経営や事業承継を検討されている方は、早めに全体の流れを整理しておくと安心です。ご相談はLINEからどうぞ。
ちなみに私自身は、こうした個人向けの発信とは別に、東証プライム上場企業の中東進出まで支援する会社(Biz Easy FZCO)の代表もしています。
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