この記事では、UAEやドバイで会社設立し、ビジネスをしていくぞとやる気満々なかた、どう運営開始したらいいか少し不安になっているかたや分からない点があるかた、事業運営にあたってきちんと基礎を抑えておきたい人に向けて説明していきたいと思います。
もちろん、今からドバイで会社設立する人も、これを読めば安心して会社設立をすることができると思います。
- 会社設立をしたらするべき事
- UAE・ドバイでの法令遵守・コンプライアンスとは
- 会計経理関連でするべき事
会社設立後にするべき事
基本的には、定款に書いてある事にのっとり会社運営をすることが重要です。定款は基本的に会社法やフリーゾーン規則にのっとっているので、ある程度会社運営のルールの記載があります。
ちゃんとしたUAEやドバイの会社が行っている事6点をピックアップしてご紹介します。このあたりを押さえれば、基本的にはあなたは立派な会社経営者です。
1.会社ヘッダー ~ Letter head ~
会社ヘッダーはワードなどで作成されるレターヘッドの雛形のことです。
・社名と住所を記載する。
・ロゴがあればベター(なくてもOK)
銀行や行政機関への提出ドキュメントは、メールではなくレターで出すのが商習慣となっています。
2.請求書(インボイス)~ invoice ~
お客さんに売上を立てる請求書のことです。見積書・注文書・プロフォルマインボイスなどありますが、インボイスが現地で一番重要になります。
・VAT (あとででてきますが消費税のようなもの)納税者登録するまでの請求書と、VAT登録する前の請求書はフォーマットが違います。
・VAT登録していない場合は、Tax Invoiceと記載することやTax●%と記載することは避けましょう。
・基本的には英語で、どうしても日本語のお客様の場合は、日本語併記にするなどの工夫をしましょう。
・自社名、住所、ロゴ(ヘッダー情報)、客先名、客先住所・所在国、注文になった製品やサービス名、単価、数量、合計金額、支払条件、支払先情報などを記載しましょう。
3.資本金の払込 ~ Paid up capital ~
UAEでは会社設立プロセスにおいて、資本金の払込とリンクしておりません。払込はマストではありませんが、払い込んだ場合は会計上仕分けが必要になるので、実際には払込されるほうが運営上好ましいです。必要であれば、銀行に払込の証明を出してもらうことも可能です。
株式に関して補足すると、すべての株式は同一種類で、種類株式などの発行はできません。配当金など何かしらのルールを決める場合は、株主間契約書を別途発行する必要が出てくるので、注意が必要です。
4.社印 ~ Company stamp ~
政府当局へ提出するレター、銀行へのレター、オフィス賃貸や電話回線契約書締結時に必要になったりします。
有限責任会社(LLC, FZCO, DMCCなど)を含めた社名は最低限記載する必要があります。ライセンス名、ライセンス発行省庁を記載するケースや、ドバイ・UAEなどを入れるケースが一般的です。
5.会計 ~ Accounting ~
・会計記録を保持
賃借対照表・損益計算書が作成されていることと定款や会社法には一般的に明記されております。
(会計監査書類を提出する必要性については、フリーゾーンによる。メインランドは現状は任意。)
現地ではクラウドの会計システム(見積・インボイス発行可)の普及が一般的なので、ビジネスをきちんと行う人は導入を検討ください。年間1,000AED~から購入可能です。
・会計年度の決定
初年度は6~18ヶ月以内(2年目以降は1年周期)で決定する必要があります。1月~12月が一般的ですが、4~3月に変更することも可能です。
・会計年度を決定するタイミングは、
- メインランドの場合は、会社設立申請時までに提出が必要です。
- フリーゾーンの場合は、、2年目の更新時に提出します。
6.損失に関する規定 ~ Losses reach half the capital~
日本の会社法とは違い、以下のルールが定められています。
- 純資産が株式資本の50%を下回った場合、取締役会をひらき、50%に回復するよう改善する処置を講じなければならない。
- 純資産が株式資本の75%を下回った場合、取締役会をひらき、25%の株主は会社の解散を要求することができる。
株主が経営者のみ、または近しい人だけであれば良いのですが、現地の投資家や不特定多数の株主が存在する場合、改善処置が難しいケースが多く、こじれる原因にもなります。
ご自身が最大株主であっても、不特定多数の株主を入れる場合は注意する必要があります。株主総会の議決権や取締役任命権など含めてご注意が必要です。
7.遵守すべきもの
・定款
・メインランドの場合:会社法
・フリーゾーンの場合:フリーゾーンの施行規則、FZCO諸条件
定款よりも優先度の高い規則として、フリーゾーンの施行規則とFZCO諸条件の内容を遵守する必要があります。
定款との内容に矛盾がある場合、後者2つが優先されます。
メインランドの場合も、テンプレートの定款をもとに作成し、基本的にはUAE会社法を遵守する必要があります。
基本ルールが変わる場合はフリーゾーンから通知が来るので、「知らない間に変わっていた・・」というような事はありません。但し、メールが埋もれてしまうということもおきてしまうため、そのあたりはご注意ください。
当社のお客様の場合は、当社からも変更に関するご連絡をさせていただいております。
法令遵守・コンプライアンスについて
無事に会社設立ができても、現地には運営時に守っていく必要がある複雑な法令遵守が存在しています。
定款とは別で守らなければいけないルールとして、基本的には労働法を抑える必要がありますが、コンプライアンスに関してもプラスで抑えておくのが安心です。
当社のお客様には、設立後に詳しくウェルカムパックに入っている説明資料・動画説明資料をご提供しご説明させていただきます。
労働法
従業員が身内だけの場合は、そこまで気にする必要はないですが、現地スタッフを雇用する場合は注意が必要です。採用前、契約締結前に労働契約書の中身を理解してください。
VAT(Value Added Tax)付加価値税
VAT(付加価値税)は日本でいう消費税のようなもので、2018年1月1日からUAEに導入されました。FTA(UAE連邦税務局)が上記記載の売上を満たす場合、任意登録が可能となり、登録義務が発生します。達成から2ヶ月をすぎると罰金がかかるため、事前に準備していくようにすすめることが大事です。
登録申請して、FTA(UAE連邦税務局)から認められると、VAT CERTIFICATE (税務登録証明書)が発行されます。その証明書に記載のある3ヶ月毎にVAT申告する必要があります。VAT登録前後でのインボイスの記載方法にもルールがあります。
VATが課税されるかは、その製品やプロダクトがどこで消費されるかが重要となります。日本向けにサービスを提供する場合は、0% (zero rate)となります。
日本でもインボイス制度が始まりましたが、UAEではVATは会計システム上で、
UBO (Ultimate Beneficial Ownership) 実質的支配者
UBOは、Ultimate Beneficial Ownershipの略語で、実質的支配者と訳され、UAEがマネーロンダリングやテロ組織などからUAEのビジネス事業者の透明性を担保するためのUAE独自の法律で定められた法令遵守規定です。
法律上は会社経営の25%以上の株主を明確にすることを求められていますが、法人株主がいる場合は、25%以上までの個人までを特定するように要求されています。実質的支配者は事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者と定義され、通常、会社設立時にUBOは特定・当局に報告されていますが、その後、株式の売却や譲渡などで25%以上の保有率が変更になった場合、報告する義務が生じます。変更時は忘れずに報告をいれるようにしましょう。UAEにあるライセンスを保有する全会社(ADGM, DIFC, 政府機関が100%出資している会社を除く)が対象です。
会社に求められている点は以下です、
- ・UBO名簿の維持管理
- ・管轄する許認可当局への提出
変更があった場合は、15日以内に提出する義務が生じます。もちろん不備や抜けがあった際は、罰則が用意されています。このあたりのアドバイスも可能ですので、お気軽にご相談ください。
ESR (Economic Substance Regulation) 経済実態規則
ESRとは、UAE経済実体規則のことで、UAE の企業に対し「経済実体」が存在していることを 実証することが求められています。日系企業では、貿易関連事業に該当するケースが多いです。これらに該当する企業は評価判定を提出し、段階を踏んでレポートを提出する必要があります。提出を怠ったり、間違った内容で申請すると罰則が用意されています。当社でもこちらの提出代行を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
該当するアクティビティー(業種業態)
- 銀行
- 保険
- 投資ファンド
- リース業
- 本社
- 海運
- ホールディング会社
- 知的財産
- 流通サービス
UAE 企業は、「特定活動」に関連する事業を行っている企業は経済実体届出書の提出が必要となり、特定活動を行っている企業は、年次報告書の提出が必要となります。提出にあたって3つのフェーズがあり、順番にすすめていく必要があります。
ESRのステップ
1)初期評価:特定事業に該当するかどうかの評価判定を行う
2)ギャップ分析:事業内容とESR適用範囲の詳細レビューの実施
3)最終報告:ESRレポートの提出(会計年度経過後 12 カ月 以内に提出)
法人税
また、法人税について、2023年6月以降開始の会計年度から、一定額( 375,000 AED)以上の経常利益に対して適用となります。
こちらについては別途、詳細記事でご紹介します。
さいごに
当社では、会社設立のサポートだけでなく、運営後のオペレーションサポートも行っております。ここであげている会計経理、法令遵守やコンプライアンスサポート、秘書役(株主総会・取締役会運営サービス)サポートもおこなっており、代行が可能です。不備があると罰則があるケースがあり、無駄な時間をとられることとなります、当社に依頼いただければスムーズに準備が可能です。
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