税制天国のイメージがあるUAE、ドバイですが、2023年6月より法人税が導入された事はご存知でしょうか?では、これからUAEやドバイで会社設立をするなら、経営者や個人事業主(フリーランス)はどうすればいいの?
この記事では、そのような疑問を紐解いていきたいと思います。
実際にUAEの法人税制度を紐解きながら、このような対応方法は可能なのでしょうか?
- UAEの法人税とは?
- 法人税の対象、対象外
- 法人税のルール
- 経費算入して利益圧縮はできるの?
- 当社のサポート内容
UAEの法人税とは?
売上から、仕入と経費を引いた金額が課税所得となります。
課税所得と、課税所得基準額375,000AEDとの差額に対して、9%の法人税が課されます。
例えば、課税所得400,000AEDの場合は400,000AED-375,000AED=25,000AEDが課税所得となります。
この課税所得25,000AEDに対し9%の法人税が必要となり、25,000AED✕9%=2,250AEDが実際に支払う税金になります。
但し、日本と同様、単純にすべて経費算入できるわけではないので、そのルールに従って経費算入・不算入したものを計算し、課税所得を最終計算します。
UAEの法人税の事業対象者
UAEでビジネスを行う全ての事業者は税務当局への法人税事業者登録が必須となります。
- UAE法人は全事業者法人税登録が必須。
- 売上(Turnover, Invoice発行総金額)が3MAED超える企業は、法人税対象。
- 課税所得375,000AED以下の場合は0%。
- 課税所得375,000AED以上の場合9%。
- 課税所得とは益金から損金 (収入-費用に近い金額)を差し引いた金額
小規模事業者免除措置
法人税導入にあたって、中小企業への免税処置が発表されています。
売上(Turnover, Invoice発行総金額)が3,000,000AED(本日レートで約1.2億円)未満の事業者は、法人税納付対象外となります。
つまり、法人税は課税されません。ただし、法人税申告で、この旨の申告が必要です。
注意すべき点は、売上金額をはじめ、Invoiceの整備や会計書類の整備も必要となり、この金額を達成していなかったとしても、この金額に近づけば近づくほど、監査対象や申告漏れ指摘、追加徴税などのリスクは高まります。
しかし、残念ながら2026年12月31日にこの措置は終了予定となっており、それ以降は、小規模事業者にも法人税が課税される事になります可能性が高いです。
- 売上(Turnover, Invoice発行総金額)が3MAED(本日レートで約1.2億円)未満の事業者は、法人税納付対象外。ただし、法人税申告で、この旨の申告が必要。
- 売上金額をはじめ、Invoiceの整備や会計書類の整備が必要。
当社では、会計記録(インボイス、経費記録の帳簿つけ)の保持をおすすめしております。税法上は7年間の書類管理義務が発生します。
法人税に関係なく、会社法的には監督官庁(フリーゾーン庁)などは、財務諸表(監査済みであるかどうかはフリーゾーンによる)の提出を要求する権利があり、提出出来ない場合、ライセンスの停止警告や新規ビザ発行禁止、罰金などの処置を行うことがありえます。
法人税の申告ルール
売上から、仕入と経費を引いた金額が課税所得となります。
課税所得と、課税所得基準額375,000AEDとの差額に対して、9%の法人税が課されます。
例. 課税所得が1,375,000AEDの場合、課税所得基準額375,000AEDとの差額1,000,000AEDに対して9%の90,000AEDが法人税納付額となります。
出来るだけ経費は抑えたいところですよね。
しかし、圧縮できるかどうかについては、いくつかルールがあります。
- 役員報酬:固定で労働契約書に記載があれば認められます。ただし市場レートを超える支払額は控除の対象になりません。
- 会食:ビジネスの目的であれば可能。但し、50%までとなります。
- 配当は経費算入認められません。
- ビジネスではなく個人で使用した費用は損金算入は認められません。
会計で抑えるポイント
会計についてもいくつか、おさえておきたいポイントがあります。
- 法人税を登録する。
- 会計帳簿の準備、財務諸表の準備が必要です。保管期間は7年間。
- 財務諸表監査はフリーゾーンの規制で求められる場合、もしくは、50,000,000AEDの収入を超える場合、必須。
- 年度毎に課税所得を計算し、申告する。
- 開始は2023年6月以降の、新規法人税対象会計年度。
法人税に関する罰金について
ルール通りに登録や申告、書類保管などをやっていない場合、罰金が課されてしまいます。
- 法人税登録を期限内に申請しなかった場合、10,000AEDの罰金
- 必要な記録等を保存していなかった場合、違反1回につき10,000AED 最終違反⽇から24ヶ⽉以内に違反が繰り返された場合20,000AEDが課せられます。
- 書類を当局の要求に応じて提出しなかった場合、5,000AEDの罰金
- 訂正が必要となる可能性のあるにもかかわらず当局に通知しなかった場合、違反1回につき1,000AEDの罰金。最終違反⽇から24ヶ ⽉以内に繰り返し違反した場合は5,000AEDの罰金。
- 納付すべき税⾦を精算しなかった場合、未決済の納付税額に対し、納付期限の翌⽇から 年14%の課税
- 誤った申告書を提出した場合、提出期限内に修正申告をしない限り、罰⾦ 500AED
となります。
法人税に関係なく、会社法的には監督官庁(フリーゾーン庁)などは、財務諸表(監査済みであるかどうかはフリーゾーンによる)の提出を要求する権利があり、提出出来ない場合、ライセンスの停止警告や新規ビザ発行禁止などの処置を行うことがあります。
【最新アップデート】法人税の申請期限
法人税の登録ルールは、以前、会計年度終了後、9ヶ月以内となっておりましたが、2024年2月27日にルール変更の案内が、UAE税務当局FTAからアナウンスがありました。
2024年3月以前にライセンスが発行された会社はライセンス発行月に応じて、それぞれの申請期限が設けられました。早い会社で5月末、遅い企業でも12月末までに登録完了が必要です。
となります。
例えばですが、2024年1月および2月にライセンスが発行された課税対象者は、ライセンス発行年に関係なく、2024年5月31日までに税務当局に法人税登録申請を提出しなければなりません。
また、2024年3月1日以降にUAEの適用法に基づいて設立される法人(メインランドやフリーゾーンの違いは関係なく)は、設立された日から3か月以内に法人税登録を申請しなければなりません。
個人事業主やフリーランサーの方
フリーランスパーミットをお持ちのフリーランスのかたは、会計についてもいくつか、おさえておきたいポイントがあります。
フリーランスパーミット保持者が行う事業に関しては、法人税の対象となっております。但し、売上金額に注意が必要です。
- 対象会計期間は、1月~12月、翌年3月末以内に法人税申告必要。2024年1月からスタート。
- 2024年以前に、ビジネスを行っている方は、それまでの会計書類を準備した上で、2024年の対象年度をスタートする必要がある。
- 売上(Turnover, Invoice発行総金額)が3MillionAED(約1.2億円)未満のかたは、法人税納付対象外。
- 売上(Turnover, Invoice発行総金額)が1MillionAED(約4,000万円) を超える場合、法人税登録必須 。
- 売上(Turnover, Invoice発行総金額)が3MillionAED(約1.2億円)未満の場合、法人税申告(=納税)不要。
つまり、3つのパターンに分けられます。
# | 売上 | 法人税登録 | 法人税申告 | 経理業務 |
1 | 1MillionAED(約4,000万円)未満 | X | X | ◯ |
2 | 1MillionAED(約4,000万円)以上 3MillionAED(約1.2億円)未満 | ◯ | X | ◯ |
3 | 3MillionAED(約1.2億円)以上 | ◯ | ◯ | ◯ |
法人税の申告や登録、罰則のルールに関しては、企業と同じルールが適用されます。
ご相談ください
当社では、UAE、ドバイで起業、新規参入をお考えの事業者様だけでなく、既に進出済みの事業者のかたへもサポート致します。
- 法人税の登録
- 法人税申告のための会計書類の準備。
- VAT登録・申告
- 法人税登録・申告
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