この記事では、UAE、ドバイ移住時にきになる税金や税制がどうなっているのか?税の種類は?税務申告はあるのか?本当にタックスヘイブンなのかについて解説いたします。
UAEの税制
UAEは税制が優遇されているということをよく聞きますが、税制はどうなっているのでしょうか?
実際のところ、UAEに税金はあります。
法人税 | 所得税 | VAT *3 | 関税 | 物品税 | |
UAE | なし *1 *2 | なし *2 | 5% | 5% | 50-100% |
* 1 法人税はドバイ、アブダビ、シャルジャでは法律上存在していますが、外国の銀行、石油・ガス・石油化学関連会社に限って課税されているのが現状です。隣国サウジアラビアは20%の法人税があり、他GCC諸国のオマーン、クウェートは15%、カタールは10%となっております。バーレーンでは石油化学会社に限って課税されております。
* 2 DIEZの監督下にあるフリーゾーンDAFZA, DSO, Dubai Commerce Cityでは2022年1月から50年間の法人税、所得税が免除され、支配者の決定でさらなる延長が可能となっております。GCC諸国でも、所得税を導入している国はまだありません。
*3 VATは消費税に近いもので、Value Added Taxといいます。関税は輸入時にかかるもの、物品税は特殊な製品お酒やたばこなどのような嗜好品にかかる税となっています。税金はありますが、他国に比べ優遇されているのは確かです。また、今後税制がどう変わるかは不透明な部分ですので、注意が必要になります。
これをみるとUAEって税金なかったんじゃないの?あってもVATだけではないの?と思われる方も多くおられますが、こういう税制がUAEにはあります。
個人の観点で見ると、所得税・VAT・物品税が関わってきますね。ビジネスの観点でみると、全て注視すべき点かと思います。では1つ1つみていきましょう。
VATとは
まずはVATとは何なのか解説していきましょう。
VATとは
VATはValue Added Taxの略で付加価値税と訳されます。付加価値税と消費税は消費者目線であればほぼ同じものと捉えてもらって問題ありません。
UAEでは2018年1月1日から導入され、5%が政府に変わって事業者が回収する必要があります。VAT登録の要件を満たしておらずTRN番号を取得できていない場合、VATを請求することはできません。
こちらでビジネスをする場合のVATはどうするのか?
個人も法人もある一定金額の上回る売上高を超える場合、登録が義務付けられております。その場合、きちんとしたTAX Invoiceを発行すること、5%の課税か0%VATかどうかをきちんとシステムでわかるように明示する必要があります。また、UAE国内の客先によって、どの首長国毎にその5%が課税されるかを記録する必要があります。
よくGoogleなどの課税などと同様に、どこで消費されるサービスや物かで課税するされない(0%VATか5%VAT)が決まってきます。例えば、物の場合は、UAE輸入時に輸入VATが通関でかかり、その金額を上乗せして最終消費者に5%課税するわけです。サービスの場合は、そのサービスがどこで消費されるかによって、課税するしないを決める必要があります。
FTAについて
FTAとはFederal Tax Authorityと言われ、UAEの連邦税務局となります。日本で言う国税にあたります。FTAが税制の規制をきめており、VAT AgentやAccounting Softwareがを承認したりしております。
VATの登録義務、任意登録
ではVATの登録義務はどうなっているのでしょうか?どうなったら登録する必要があるのでしょう?実は以下のような基準が設けられております。
【登録義務基準】
・過去12ヶ月間の売上高がAED 375,000以上の場合。 または、
・今後30日以内に売上高がAED 375,000以上になると予想される場合。
【任意登録】
・過去12ヶ月間の売上高または経費(VATの対象となる)のいずれかがAED187,500以上である。または
・今後30日以内に売上高または経費(VATの対象となるもの)のいずれかがAED187,500以上になると予想される場合。
UAEでは会計監査基準としてIFRS(国際会計基準)が採用されており、この売上高に関しては、基本的には売上総利益で見る必要があります。売上総利益というのは、販売金額から仕入原価などを除いた利益のことです。VAT登録されてしまうと、事業規模におうじて、月次~四半期ごとにVAT申告をする必要があります。その時は、毎月記帳している課税額をチェックし、売上とVAT金額をFTAポータルに記帳します。
これに関しては、メインランド・フリーゾーン関係なく対象となります。
VATに関する罰金
VATの登録漏れ、申告漏れ、申告間違いがあると罰金がかかります。
ここでは簡単に説明したいと思います。興味があるかたは、個別にお問い合わせください。
1 | 事業を行う者が租税手続法及び税法に定める 必要な記録等を保存していない場合。 | 1度目10,000AED 2回目以降 50,000AED |
2 | 課税対象者が税法に定める期間内に登録申請書を提出しなかった場合。 | 20,000AED |
3 | 課税対象者が税込み価格を表示しないこと。 | 15,000AED |
これ以外にも多くの規定があります。
法人税
ご存知のかたも少ないようですが、UAEには各首長国によって発行された法令に基づいた法人税に関する条例が存在します。
そこには法人所得の55%上限として累進課税されるものとなっていますが、対象は石油・ガス会社と銀行(20%固定税率)に限定されています。
それ以外の企業は現状は対象外となっております。
フリーゾーンによっては2022年1月から50年間は法人税所得税が法律上かからず、再延長可能との法令が適用されました。
なので現状はこの規制外の事業形態であれば、法人税はかからないといえるでしょう。
但し、他GCC諸国でも法人税をとっているところは多いので、今後のUAEの税制や歳入などの計画次第では、変更もありうる可能性は否定できません。
2022年1月末に新たな発表がありました。
2023年6月以降の会計年度よりUAEで9%の法人税が開始されることが発表。
・2023年1月1日から2023年12月31日までの会計年度を持つ事業は、2024年1月1日からUAE法人税の対象。
・世界的に法人税に対するOECDを中心とする税制の均一性をはかる潮流を考慮した形。
・個人での所得税は0%。法人の経常利益に対して課税。
・375,000AED未満の法人利益に対しては0%。この金額はVAT登録の要件と一致。
・375,000AED以上の利益に対して9%。
・メインラインド・フリーゾーンなどに応じて、この9%の対象金額が変わってくるよう。基本的にはメインランドと取引をしている事業と言われている。また、フリーゾーンは基本非課税と言われているが、ここの詳細はまだ未確定です。
ニュース元
https://gulfnews.com/business/markets/uae-to-introduce-9-corporate-tax-on-business-profits-from-june-1-2023-1.1643627271956
所得税
個人に関する所得税はありません。これは他のGCC諸国でも課税されている国はまだないため、UAEでも導入される可能性は低いと見ていいと思います。
関税・輸入VAT
物品の輸入時にかかる関税はCIF価格の5%、輸入VATとして5%がかかります。
物品税
タバコや電子タバコ、炭酸飲料、エナジードリンクなどには50~100%の物品税がかけられています。
法人税のOECDの合意の影響
UAEはOECDに加盟しており、昨今の世界での法人税の不平等をなくす動きに対しても、少し気にかける必要があります。第一の柱、第二の柱があり、第二の柱には最低法人税として15%が課税されることになっております。時期は2024年頃、全世界売上高が7.5億ユーロを超える多国籍企業が対象となるため、これに満たない企業は気にする必要がありませんね。
ひとまずは影響があるのは大企業のみとなりそうですね。
その他税制
アパートやオフィスなどに賃料の5%がかかります。ホテルの宿泊に応じてツーリズム手数料がかかります。これに関しては、ある種の住民税と言えるとは思います。これら以外では、アルコールなどに対しても税金がかけられております。
あとは、グループ企業間の取引の価格を調整することによって他国に流れた税金を取り戻す移転価格税制などがあります。これはグループ企業間での売上や利益を意図的に調整することに対し、UAEなどの税金の安い国で利益を出すことを防ぐような税制になっています。
また、キャピタルゲインやインカムゲインに対しても税はかからないので、金融資産としての投資を行っている人が全体的に多いです。但し、不動産を売買する場合購入価格の2~5%の税金がかかります。
また相続税や贈与税もありません。但し、その財産がUAEにあることと、個人がどこの居住者かという点をご留意ください。非イスラム教徒で海外にある資産の場合は、その国の法律が適用されるケースがほとんどです。但し、非イスラム教徒の場合、UAEのフリーゾーンにある裁判所に遺言を登録する事ができ、そこでは世界のあらゆる資産を対象とすることができます。
最後に
ここではUAEで企業活動する時のVATや税制について述べてきました。よくドバイやUAEはタックスヘイブンと言われる方もおられるくらい、他の国に比べると恵まれているというのがわかるかと思います。また移住・赴任時にしておくべき日本側の税制対策などについてもよく質問をされます。住民票の問題や出国税に関しては、ご留意が必要です。
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